路の巻

冴える冬の夜。
清閑な都会の暗がりに、団地の灯が規則正しく並んでいる。
澄んだ空気の中、はっきりとした青白い輪郭が、その距離感を奪っていく。
あの灯、ひとつひとつに家族があり、そこにドラマがあるのだと考えると
なんとも言いようのない感慨が胸を走っていく。

盈満な人生とは程遠く、まして独り身のこの菲薄な日々に目を向けると
時折、他人の幸せが鋭い刃物のように心を突き刺してくるのだ。

地位も名誉も人望もなく、おまけに金もなし。
どこで道を間違えたのか、自分でもさっぱりわからぬ。
保育園、幼稚園、小学校、高校と、みなと同じように生活してきたはずだ。
同じように通学して、同じように授業を聞いていたはずなのに
いつしかあいつはエリート、我は根なし草の木偶の坊。
なぜだ。

そりゃあ、幼少の頃にしっかりと勉学に励んでいたかどうかが問題だろうが、
あいにく勉強は嫌いだったし、カルトじみた教育を受けた記憶もない。
そもそも、親や教師の教育方法など関係なかったようにも思う。
勉強しろと言われれば反抗し、言われなければとことんやらない。
本来、どこかで危機意識が働き、真っ当な社会人に向けて方向転換するものだろうが、
私の場合はそのまま我が道を進んでしまった。
後ろを振り返れば誰もおらず、気づいたときには
全く知らない場所を歩いている状況であった。

人生とは開拓。
道を作るというのは、単なる軌跡にすぎない。
ほかの誰かに歩いてもらう気など毛頭ないし、誰かのために道を作るわけでもない。
ただ、どうせいつか死ぬなら、自分だけの道を歩きたいものである。


ウッシー

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