虫の味
特に書くネタがないから、タイで初めて昆虫を食べた時の話をしよう。

10月。
ちょうど雨季の真っ只中だった。
バケツをひっくり返したようなスコールの音で目が覚める。
安宿の薄っぺらい壁の向こうからはタイ語のニュースが漏れて
首筋にへばりつくような湿気が東南アジアに来たことを実感させる。
虫の死骸が転がる薄暗い廊下を抜けて、屋台へ腹ごしらえに向かう。

余談だが、自分はバックパッカーという言葉があまり好きじゃない。
ボロボロの服装で、いかにも「自分、貧乏旅行してます」的な
あの感じがどうも苦手である。
何より、空港で別室へ連行され丸裸にされる羽目になる。

そうそう、昆虫を食べた時の話。

タイといっても広い。
北の山岳地帯じゃ寒い日もあるし
南のリゾートじゃ一年中パラダイスだ。
昆虫だってタイ全土で食べるわけじゃない。

基本的に地方の人間が虫を食べる。
しかし最近は虫ブームで都会でも虫の人気が出てきている。
ホンマかい!と思うような話だが、ほんまの話。

実際、小奇麗なスーツを着たOLのお姉さん方が
タガメを食べながら歩いてたりする。
ホンマかい!と思うような話だが、これもほんまの話。

郷に入れば郷に従えという祖父の教えを思い出し
いざ昆虫の屋台で虫を吟味する。

希望の虫を注文すれば小さい袋にパンパンに詰めてくれるシステムだ。
ハッキリ言ってこんなにワクワクしない詰め放題は初めてである。
どことなく屋台の親父の顔も虫っぽい。

しかし、カラッと小麦色に揚がった虫たちは
何となく美味しそうに感じてくる。そう、何となく。
とりあえず、バッタと細い芋虫とゲンゴロウをミックスで頼む。
虫親父は「サービスしとくぜ」と歯の抜けた笑顔で笑いながらタガメも一匹放り込んだ。
味付けは塩のみ。気になる味は

バッタ→エビフライの尻尾
芋虫→かっぱえびせん
ゲンゴロウ→いかり豆
タガメ→捨てた

虫を食わなくても人生で困ることは何もありません。
以上。

ウッシー

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